LOGIN「お兄ちゃん!助けてー!」
「待ってろ!すぐ助ける!…くそっ、騎士団より悪魔が多すぎる…」 理由は分からないが突如現れた悪魔の大群は町に現れ、たくさんの人々を殺戮していた。 俺はちょうど騎士団の仕事でこの町にいたので仲間と共に悪魔に対抗していた。 大半の悪魔は倒したはずなのだがどういう訳か悪魔は増える一方でエバルフ達は苦戦していた。 その目の前には妹が悪魔に取り囲まれていた。 「エバルフさん!悪魔が多すぎて我々じゃとても…」 「くそっ、団長がいればいいんだが今あの人は他の任務だからな。どうすれば…」 エバルフが悩んでると妹を囲んでいた悪魔が妹を切り刻もうと爪を振り下ろしたその時。 グサッ… 何かが斬られた音がした。 これは妹が斬られた音ではなく、悪魔が斬られた音でその悪魔は斬られた背中を押さえながら倒れてしまった。 悪魔を斬ったのは黒いローブを身にまとっていて顔はフードを被っていたのでよく見えないがどことなくグレンに似ていた。 周りにいた悪魔は仲間が斬られた事によってこのローブの男を敵と判断した。 そして爪を伸ばして襲いかかった。 しかし、その男は目に見えない速さで悪魔を斬りまくっていった。 そして男が目で判断できる速さになった時には悪魔達の体から切り傷が出てきて血を吹き出しながら倒れた。 それを見たエバルフは妹が助かったと思ってホッとした。 「よかった。妹は無事に助かっ…」 エバルフは目の前の状況を理解するのに少し遅れたがそれに気づいた時彼は狂ったように発狂した。 「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」 そこには悪魔の死体の中に妹の死体まで混じっていたからだ。 「お気を確かに、エバルフさん!…なんて事を…」 横にいた部下の男はエバルフの妹を見てから黒いローブの男を睨みつけた。 黒いローブの男は悪魔と一緒に妹まで斬ったのだ。 しかし、謝罪もせずにその場を立ち去ろうとした。 「…待てよ。」 エバルフはうつむいているが地面につけた手からは怒りで震えているのがわかった。 立ち去ろうとするローブの男を呼び止めたると男は言った。 「…何を怒っている?俺の射程距離にコレがいただけだ。運が悪い。」 「な…に…」 「そんな睨むな。助けれなかったのはお前の弱さ以外何もない。」 その男は悪びれるどころかエバルフの弱さが原因とハッキリ言った。 エバルフはその男のイカれた発言に我慢できず、手元にあった剣でその男を斬りつけようとした。 しかし男はその剣をかわすとエバルフの首筋を手で叩きつけ、エバルフは地面に倒れた。 「弱いくせに人助けなんざ笑わせる。俺はお前みたいな弱いくせに守るとかほざく奴が大っ嫌いなんだよ。」 ローブの男はそのまま去ろうとするがエバルフの部下達は男の目の前に立ち塞がった。 「どけ、死にたくなかったらな。」 「どきません!さっきの言葉訂正して下さるまで…どきません!」 部下の1人が懸命になって言うが顔には涙と恐怖でブルブル震えているのが伝わってくる。 「はぁ、無理するな。そんな事しても悪魔祓いの俺に勝てるわけないだろ?」 ーそうだ、やめろ…お前達じゃ勝てな… 「勝てるか勝てないかじゃない!あなたは私たちの職業を…騎士団の誇りを侮辱した!訂正するまで絶対に許さないぞ!」 「…はぁ、そんなに死にたければ…今すぐ殺してやる。」 男はそう言って剣を抜き始めた。 「よせ…やめろ…やめろーーー!!」 その後、男はエバルフ以外の部下達を容赦なく殺した。 その時のエバルフには絶望しかなかった。 そして思った。 「許さない、悪魔祓い」 エバルフはその憎しみを全て強さに変え、3年後12騎士長の1人となった。 昔の純粋な夢を抱いたエバルフ・シュロンはもういない。 いるのは憎しみによって生きているエバルフ・シュロン。 そう、俺は強くならなきゃいけない。ならなきゃ誰も助けられないー 「…そうだ…強くならなければ…誰も守れない…」 諦めかけたエバルフは再び落ちている剣を持ち立ち上がった。 「…?」 「悪魔祓いを装って人々を殺める貴様ら邪道を…俺は…許…さない!」 その瞬間、エバルフの体の周りから黒い魔力のオーラが放たれた。 そのオーラと共に体が黒く変色し、右片方の目だけ黒から赤に変わった。 「何あれ!?あの人の体が黒く…」 後ろで見ていたミーナは当然驚いた。 その黒い姿がまるであの時のシェスカに似ていたのだ。 しかし、その姿を見て驚いたのはグレンも同じだった。 「まずい…あれは悪魔化だ。下手したらあいつ悪魔になるぞ…」 「その通り!いやー、ここまで仕上げるの本当大変だったよ。」 突然聞こえてきた声は今まで気にしてなかったエバルフのもう1人の部下のロフィスだった。 見た目は部下と同じ様に鎧と剣を持った騎士らしい姿で髪と瞳は明るい茶色の男。 ロフィスは今までグレンとエバルフに気づかれないように建物の屋根の上に隠れていた。 そしてそのまま屋根から飛び降りでグレンの前に着地し。 「初めまして、紅の悪魔祓い・グレン。そしてありがとう。あのエバルフをここまで悪魔化させるのに協力してもらって。」 優しく笑いながら感謝の言葉をするロフィス。 グレンはそれを無視して。 「お前は何者だ。魔法騎士団のやつじゃないな。」 「俺か?んー…知ってどうする気?」 ロフィスはおちょくっているのか空中に浮くと逆さになった状態でグレンの顔と向き合った。 向き合った直後に一瞬でエバルフの真横に移動した。 「空間移動…」 「そう、これはあんたと同じ転移魔法。あんたに追いつけたのは予知能力とこの空間魔法のおかげって訳だ。」 「なるほど、通りで最近俺に追いつく距離が狭まってたのか。…で、お前は何者だ?人の悪魔化を望んでるから人間ではなく悪魔なのは確かだ。…そしてそこらの悪魔とは比較にならない程の魔力だ。」 グレンが悪魔祓いになってからビビった事はこの10年間で数える程度しかない。 そのグレンが今ビビっているという事はその周りにいる部下達とミーナもビビっていた。 そしてロフィスは口を開けた。 「…いいだろう…教えてやるよ。俺は悪魔だが他の奴らとはケタが違う。なぜなら…俺はあの悲劇の国で生まれた悪魔!その名も悪魔の上の存在…獄魔(デーモン)だ!」 「獄魔…なるほど、俺の魔法をかわせたのも理解できるな。」 「まあ君ならその気になれば俺なんて普通に殺せるだろ?」 そう言いながらもロフィスは口角を吊り上げながら不敵な笑みを浮かべた。 そして悪魔化してるエバルフの肩に手をポンと置き。 「さあエバルフ。あの憎っくき悪魔祓いを殺しなさい。そうすればお前の憎しみはなくなるぞ?」 ロフィスの言葉によってエバルフは甲高い雄叫びをあげ、黒くなった腕はさらに歪さを増して人の腕の原型をとどめない形に変わっていく。 顔はさっきと同じで右片目だけ赤くてさっきと変わっていないが物凄い形相でグレンを睨みつけていた。 ー来る! そしてその一歩目が早かった。 数メートル離れてるのにも関わらず一歩目でグレンに近づき剣を縦に振るった。 グレンも大剣でそれを防ぎ回避するが予想以上の威力のため少し押され気味だった。 回避してからバックステップで距離を保ってからグレンの手から光の球体を発現させ、その球体をエバルフに向けるとそれを光線のようにして打った。 (くらえ!この光の最上級魔法は回避不可能だ!) キィィィン! しかし、エバルフはその光の光線をいとも簡単に跳ね返してしまう。 「俺の光属性の最上級魔法を…」 自分の中の最上級魔法の中で最速を誇る光魔法を見切られ、動揺を隠せないグレン。 「…許…さない…。許さないぞ…紅の悪魔祓い!」 「俺はお前に恨みを持たせるようなことをした覚えはない。」 「ふざけるな…妹を…妹を返せ!」 何を言ってる?俺はエバルフと初対面だし、ましてやあいつの妹なんて知るわけが… 「そうだエバルフ!そいつがあの時お前の妹を殺した張本人だ!遠慮せずに盛大に殺せ!」 ロフィス…どうやらこの訳のわからん自体を招いた張本人だな。 一方ミーナと倒れていた部下たちは変わり果てたエバルフを見て。 「やはりあの人は3年前の事を…このままじゃあの悪魔化とやらに…」 「くそ!…ロフィスの奴め、前々から気にくわない奴だったがまさかあいつが悪魔だったとは…」 どうやらエバルフ以外の何人かの部下はロフィスの心に気づいていたようだ。 しかし、エバルフはなぜグレンを恨むのか。 それが気になってミーナは聞いた。 「あの、すみません。」 「!?君はあいつ(グレン)の…」 「怖がらなくてもいいです。私は勝手にグレンについて来てるだけなんで。」 部下たちはミーナに声をかけられた瞬間ビビって一歩後ろに下がった。 「ああ、すまない。…で、何…かな…?」 謝っときながらまだビビってる。 私がグレンと旅してるからってグレンみたいな人と勘違いされるのは嫌だなぁ。夢の中のグレンはいい人だけど。 そんな事を思いながらミーナは部下の人達にエバルフがなぜグレンを恨むのか聞いた。 エバルフが騎士団に入った理由。妹と部下が悪魔祓いに殺された事。その悪魔祓いがグレンにそっくりな事をまとめて全部教えてもらった。 「…ということだよ。エバルフさんはそれ以来強さだけが人を守るという信念を持たれたが…」 「その信念はやがて憎しみに変わり、市民の命よりも悪魔祓いの復讐心の方が強くなった。」 「ロフィスのせいだ!あいつがエバルフさんを洗脳したんだ!チキショー!」 最後に言った部下は地面を殴りながら涙を流した。 それはただ忠誠心が強いから仕方なく泣いてるのではなく、心の底からエバルフを心配しての涙だというのがミーナに伝わった。 そしてミーナも鼻をすすり、両目から雫が頬をつたった。 「…エバルフさんは妹を失って、全てを恨みたくなる気持ち…すごく分かります…でも…でも、妹さんは…彼の復讐を望んではいないはずです!」 ミーナは涙を拭き払ってグレンとエバルフが戦ってる方を向いた。 「お嬢ちゃん…まさかあんたあの2人を…」 「止めてみせます!私は決めたんです…グレンを元の優しい人に戻すこと!そして、もう二度と悪魔の悲劇を生まないためにも…私はエバルフさんの悪魔化を止めます!」 そしてミーナはグレンとエバルフの方へ歩き出した。 「うぉぉぉぉぉぉ!!!」 剣を振りかぶりながら接近するエバルフ。 グレンは悪魔化したエバルフに苦戦を強いられていて、今の剣の一撃も大剣で打ち流してかわした。 (おいグレン!なんで本気で戦わん!?) 「お前か…こんな時に声をかけてくるな、後にしろ!」 後ろにバックステップしてる時にグレンの中にいる悪魔が周りに聞こえない声で喋りかけてきた。 (アホか!死んだら何にもなんねーだろ?さっさと黒炎使って獄魔とあの人間殺しちまえ!なんで使わねーんだ?) 「うるさい!今戦ってんのは俺だ!いちいち俺に指図すんじゃねー!」 グレンは悪魔の声を吹き払うかのように大剣を振ると風魔法の効果でエバルフに向かって斬撃が飛んだ。 しかし、その斬撃を軽く避けるとエバルフは風魔法の身体強化で速さを増しながら突っ込んできた。 グレンはどんなに苦戦を強いられても黒炎を使わないのでお互い一歩も譲らないまま攻防戦が続く。 「(くそっ!分かってる…黒炎使っちまえば余裕で殺せる…。だが…今あいつは殺しちゃいけねーような気がする!かといって、このままじゃ俺もヤバイ…どうした俺?変な気持ちを起こす前にいつもみたいにさっさとこんな奴殺しちまえよ!)」 そんな事を考えてると剣がグレンの右肩に擦り、マントが破けるとそこから血が流れていた。 その影響で身体の重心がぐらついて地面にこけてしまう。 エバルフはグレンのこけた姿を真顔で見下ろした。 「ぐっ!…」 「終わりだ…俺の妹を殺した外道の悪魔祓い。死ねっ!」 エバルフが剣を振り上げようとしたその時。 「やめてください、エバルフさん!」 剣を振りかぶった隙に走ってグレンの目の前まで行くと両手を広げてグレンを庇う姿勢を作った。 それに気づいたエバルフは振りかぶった状態のまま静止した 「邪魔するな!どうせお前も悪魔祓いの手先だろ?お前は後で殺すからそこをどけ!」 エバルフの左目と赤い右目がミーナを一直線に見つめた。 怖い、…足が震えているのが自分でも感じる…でも…私はそれでも… ミーナは怖くて震えながらも力を振り絞って言い放った。 「もう、やめて下さい!あなたは…あなたの目指していた騎士団は…復讐を果たすだけの…そんなものだったんですか?」 「何ぃ…?」 エバルフの殺気がきつくなり、剣を握る力が強くなった。 「バカがミーナ!あいつの怒りを高めてどうすんだよ。そいつの目的は俺だけだ。お前はとっとと退が…」 グレンがいち早くエバルフの殺気に気づき、ミーナに退がれと言おうとした時にはエバルフは剣を振り下ろしかけていた。 「くっ…!」 「あぁ、あの子殺され…」 部下達もグレンもダメだと思った時、ミーナは一言。 「あなたの妹はそんな姿を望んではいないはずです。」 その一言でエバルフの剣がミーナの頭の上でピタッと止まった。 「バカな…奇跡だ…」 多分この場にいるほとんどがびっくりしたはずだ。 あのロフィスでさえ驚きのあまり開いた口が閉じれなかった。 「俺の…妹…」 「あなたの妹は3年前に殺された。しかもグレンにそっくりな悪魔祓いに。」 「…!?」 「…なんだと?」 その言葉にグレンも驚いたがミーナはそれでも話す事を止めずに。 「確かにそんな辛いことがあれば誰だって辛くてその殺した奴に復讐したくなる気持ちも…私には分かります。」 「ふざけるな!お前なんかに何が分か…」 「分かるよ。私も同じように学校の親友を悪魔に殺されたから。」 「…くっ!お前は所詮友達だろーが!俺は家族を失った!たった1人の…残された1人の家族を奪われたんだ!こんな気持ち…お前なんかに…」 「所詮って何よ?」 ミーナの表情は強面に変わり、声が低くなった。 「大切な人は家族以外にもあるはずよ。あなたたち騎士団は市民の人の事も所詮赤の他人って言うの?」 その言葉にエバルフは何も返せなかった。いや、今の自分の事を考えると返す言葉なんてなかった。 そしてエバルフは正気を取り戻したのか次第に赤くなった右目が戻っていき黒くなった体も元に戻っていった。 「何が全ての人々を守るよ…何が騎士団は市民のヒーローよ。簡単に闇に堕ちてしまうような弱いヒーローなんていない方がいい!今のあなたは騎士団に相応しくないって昔のあなたならすぐ気づけたはずよ!」 「……!?」 「…今ならまだ間に合うはずです。もう、復讐の為に生きるのはやめて下さい。昔の、純粋に市民を守ろうとするエバルフさんに戻って下さい。天国にいる妹さんはそれを望んでるはずよ。」 ミーナは最後に優しくそう言った。 エバルフはようやく自分の愚かさに気づいたのか上を向きながら号泣し、そのまま座り込んだ。「……だから、俺が強くなる為にネルは修行を手伝ってくれただけなんだ。今回、あいつは何も悪く無い。寧ろ感謝してるくらいなんだ。」カイルはネルの事を誤解しているエミルに今までの経緯を話した。ーーだからこんなにもボロボロだったのか。信用していない相手が自分の好きな人をこんなボロボロの状態にされてエミルが黙ってる筈が無い。けれど、今理由を知った事で誤解が解かれたエミルは落ち着きを取り戻……。してはいなかった。それを聞いたエミルは仰向けで倒れているカイルの方を見ながらボロボロと涙がカイルの顔に滴っていた。そして。「何であいつの事そんな簡単に信用するの!?あいつがフィナさんの国でどんな事したのか、カイルは知ってるんでしょ?」エミルは怒りながらカイルに言うも、その言葉にはどこか心配も含まれている様に感じられる。「ああ。勿論知ってる。けど、昨日ミーナちゃんも言ってた様にあいつにはもう悪意が無い。修行も純粋に俺達を強くする為に手伝ってくれてた。」「そのお陰で俺は昨日よりも確実に強くなれた。」カイルの返答に対し、エミルは負けずに大きな声で捲し立てた。「昨日たった1日しかあいつの事見てないんでしょ!?きっと今はこうやって良いところだけを見せてるだけ!その後から裏切る事だってある筈よ!」「人はそう簡単に変わらない!変われないのよ、悪人は特にね!そんな奴がちょっと良い事しただけなのに、皆んな簡単に騙され過ぎなのよ!」「エミルだってネルの事何も知らないだろ!!」カイルは捲し立てるエミルに負けないくらいの大声で一喝するとエミルは喋るのをピタリと止めた。そしてカイルは続けて言った。「確かにネルはシルフを壊滅寸前まで追い込んだ。殺した人も星の数だろう。到底世間にも、フィナさんやライクとニケルにも許されないと思う。」「でも、それはエミルも一緒だっただろ?現に元盗賊だったせいでイフリークの騎士団には最初認めてもらえなかった。盗賊なんて、世間から見れば悪人なんだからな。」「な!…違う!私は…」カイルの発言に動揺するエミルだが、ヒートアップしたカイルは喋るのを止めない。「違わない!エミルは自分がされた事と同じ事をネルに言ってるんだ!エミルだけじゃ無い!この場に居る全員、立場が変われば被害者と加害者なんだよ!」「だから皆んな。どっちかがずっと被害者面ばかりするな
[ライクとニケル]サイド。目の前の悪魔達に対し、2人共雷神と風神の姿へと変貌した。「一気に潰してやるよ!」「魔力操作"極(ぎょく)"!火雷(ほのいかづち)!」ライクの背中の上から2番目の鼓が光ると右手から高電圧の雷が溜め込まれる。今までの火雷はそのまま一瞬で放たれるも、魔力操作"極(ぎょく)"により溜め込み時間が普段より10秒くらい掛かる。溜め込まれた右手の雷を悪魔達に向けて一筋の矢の様にして一直線に放たれる。ドカァァァン!!!炎を帯びた雷の大爆発は魔力操作"極(ぎょく)"により、普段よりも10倍以上の威力を発揮した。その威力により、1回の爆発で100体以上の悪魔が一気に消滅した。「っしゃあ!やりぃ!」魔力操作"極(ぎょく)"が上手くいき、調子付くライク。ーーこのままやってけば、あっという間に。しかし、そんな希望は一瞬で崩れ去る。ライクの雷で消滅した側から、再び後ろの方から悪魔が再生していった。「いぃっ!?何だ!?何でまた再生したんだ!?」「…成程。どうやらこの修行、悪魔達を全員殺すのが目的じゃないみたい。」「どう言う事だ、ニケル?」「つまり、この永遠に湧き出てくる悪魔を3日間、休みなく戦い続けなければいけないって事だ。」そう。ニケルが言った通り、2人の修行はこの悪魔達を全員倒す事が目的ではない。絶え間なく湧き出てくる悪魔達を魔力操作"極(ぎょく)"を使って戦い続ける為の持久性を鍛える事が目的であった。「だからライク。そんな大技を放ったところで意味は無い。ここからはペース配分を考えて戦わなければいけない。」「成程な。効率良く戦えって事か?」「それだけじゃ無い。こいつらは魔力操作"極(ぎょく)"でしか倒せない。だからもっと成功率も上げないと。」2人は雷神と風神の力による効果で更なる力を得たのだが、持続性が無いのが欠点である。そしてもう一つ。これはライクとニケル自身の問題。2人は雷神と風神の力を過信し、いつしかそれに頼る戦いが定着しつつあった。この修行では2人のその定着した悪癖を直すのに打って付けであったが、それは只直すと言うにはあまりにも過酷な修行であった。ライクとニケルはまだ完成したばかりの魔力操作"極(ぎょく)"はまだ不安定であり、失敗する事の方が多い。その上、魔力を溜める時間に10秒必要というのも、実戦
その後、グロードの空間移動で全員をカイルの家の前へと転移させた。カイルが家に入るとカイルの母親であるカルラが出迎えてくれた。「おかえり、皆んな。あれ?今日はまた知らない人が居るみたいね。」初対面であるグロードとネルがカルラの目に入った為、すぐにグロードはカルラの前に出て挨拶をした。「申し遅れました。自分の名前はグロードと言います。元々ここに居るライクとニケル、フィナと旅を同行していた者です。そしてこの隣に居るのはネルという者です。」グロードは丁寧にカルラに挨拶をすると、隣に居たネルを手で指し示した。「ネルと言います。」ネルはグロードに続けて一言だけ挨拶をした。「母上。この人達もしばらくの間、泊めて欲しいんだけど…。」カイルは少し躊躇いながら自分の母親であるカルラに尋ねた。幾らカイルの家が大きく親が寛大だからといって、こう何人も居候の人が増えると言うのは母親への負担が大きくなると思ったからだ。流石に迷惑かな?そう思ったカイルであったが。「ええ、良いですとも!さ、上がって下さい!」「良いんですか?」カルラが笑顔で快諾した事が予想外だった為、グロードは戸惑っていた。「はい!何だかね、カイルが色んな人を連れて来てくれるお陰で、広くてどこか寂しかった我が家が楽しい空間に変わってる感じがしてね。」「それに、今更2人増えたところで我が家は何も変わらないわよ。だから、いつまでも居て大丈夫ですよ。」「そう言って頂けるなら嬉しい限りです。本当に、ありがとうございます。」グロードはカルラの器の広さに感謝しながら再びお辞儀して感謝の気持ちを伝える。その姿を見てネルもグロードと同じ様にお辞儀した。「あり…がとう、ございます。」相変わらず、感謝の気持ちを伝えるのが下手なネルはぎこちなくそう言った。「では、どうぞ中に入って下さい!」そう言って全員カイルの家の中へと入って行く。中に入るとカイルの妹であるレイアがカイル達に気付いた。「あ、お兄ちゃん!皆んな!おかえり!」レイアは居間で本を読んでいたが、カイル達に気付くと本を閉じてカイル達の方に駆け寄った。「レイアちゃん、ただいま!」「ミーナちゃん!…ムッ。修行した後はあまり近づかないで欲しいです!」ミーナはレイアが可愛いあまりほっぺをスリスリしようとしたが、汗の匂いもあって近寄って欲しくない
カイルの黒帝剣技は影の中に居る相手を斬りつけるが、距離が離れれば離れる程威力が低下する。以前ベリエル(ハイド)に負けたカイルもその弱点を見極められて十分な力を発揮出来なかった。しかし、今回は違う。カイルは特別強く刀を振るった訳では無く、グロードとも距離が離れていたのに鋼鉄の皮膚を持つグロードに傷を与えた。「たった一振りでグロードに傷を付けた!?」「凄い威力だ。あのグロードさんに傷を与えるなんて、僕達は物凄く苦労したのに。…やっぱりあの刀のお陰なのかな?」ライクとニケルは初見でグロードに傷を付けたカイルを見て驚きながらそう言った。驚いていたのは当の本人であるカイルも同じであり、カイルは手に持った二刀の刀を見つめていた。「この刀…凄い力だ。それ程強く振るっていないのにこの威力。」エミルやミーナ、フィナもカイルの斬撃を見て、ライクやニケル同様に感嘆(かんたん)した。ただ1人、ネルを除いては。ネルはカイルの斬撃を真剣な表情で黙ったまま何も喋らない。一方、傷を付けられたグロードは例の不死の肉体により、傷口はすぐに再生した。「成程。これは黒帝剣技か。それに刀との相性が抜群の影の間接的攻撃。それに加えてこの威力…。」グロードはカイルに与えられた斬撃から、ブツブツと言いながら分析をしていた。「…よし、じゃあカイル君。その刀に自分の影を纏ってみてくれ。」「えっ?何でその事を知ってるんですか?」「良いから早く。」そう急かされたカイルは言われた通り、自身の影を暗影蛇(あんえいだ)と黒纏蛇(こくてんだ)に纏った。纏った瞬間、カイルの目の色はいつもの様に赤く変化したがその直後、いつもとは違う感覚が起こった。「ぐっ…視界が一瞬だけ淀んだ…何だ、これは?」まるで胴のキツイ眼鏡を付けた様な視界が一瞬訪れたが、その後は特に異常は見られない。いや、いつもより影の動きが鮮明に捉えやすかった。「…よし、じゃあ俺に攻撃してみなさい。」「分かりました!」そう言った直後、カイルは目に見えないスピードでグロードの間合いに入る。そしてグロードの影を斬りつけようとした時だった。グロードはカイルが右手に持つ刀を振おうとした瞬間、左足で蹴り上げてそれを止めた。蹴られたカイルの右腕は上に弾かれてしまい、それにより体勢が後方へとぐらついた。「うわっ!…!?」すると
グロードは魔力感知に加えて、周囲の空気振動や電磁波を読み取って相手の特徴を把握する事が出来る。しかし、ベリエルは魔力の質や量を変化させる上に見た目も変化させる事が可能である為、グロードの感知魔法ではベリエルの特徴を捉えられなかったのだ。「俺は風魔法の微弱な風を相手に当てる事で、相手の身体の輪郭を感じ取り、相手との距離感を把握出来る。」「そして雷属性で相手の身体から発する電磁波を読み取る魔法を使えば、例え変身魔法を使っても見分ける事も可能だ。」「この魔法の効果は5000km圏内まで発揮する。だから俺は目が見えなくてもみんなの居る場所がすぐに分かるんだ。」「なっ?凄いだろ、グロードは。」グロードが自身の感知魔法について説明した後、ドヤ顔で誇らしげに言うライク。「何でお前がドヤってるんだよ。まあ、確かに。規格外だよ、グロードさんは。」「確かにそうね。5000km圏内…魔力の流れを読むとかの次元じゃ無いわ。」カイルとエミルは魔力の流れを読む修行をしたお陰で、クレーアタウンでの戦いではその修行の成果をしっかり発揮出来た。ミーナとカイルとエミルは小さな国であれば悪魔の居場所を特定出来るくらいの魔力感知能力はある。しかし、所詮は小さな国程度。グロードの魔力感知範囲は5000km圏内と規格外であり、現実世界の日本で例えるなら日本国土の約52倍もの面積に相当する。しかも魔力感知能力もずば抜けており、魔法が使えない微弱な魔力の持ち主が数km離れた場所に居ても感知する事が出来る。当然、魔力の流れを読む修行をしたからこそカイルとエミルはこの規格外なグロードとの差をきちんと理解していた。「だが、これ程範囲を広げて探してもベリエルを400年間見つける事が出来なかった。それなのに20年前、突然奴は俺の感知魔法に引っ掛かった。」「その時の感知した感覚は、何も無い場所から突然現れた様な感覚。まるでわざと見つかりに来たかの様な現れ方だった。」そう。20年前にベリエルを魔力感知で見つけた際、この様に突然現れた様な感覚に当時のグロードは驚いていたのだ。「つまり、ベリエルはわざと見つかる為に本来の魔力と姿を戻した。そういう事か?」「その通りだ、ネル。奴は自分の計画を俺に邪魔されたく無かった。だから20年間、俺は奴に封印された。」「20年間!?…じゃあ、俺達と神の遺跡
この世界を作った神が居ました。その神の名は理王(リオ)。森羅万象を司る神にして、全ての万物、生物を生み出した世界の始祖となる存在。数億年前、理王(リオ)は3つの世界を作り出した。1つ目の世界は、神や天使が存在する[天界]。2つ目の世界は、悪魔が存在する[魔界]。3つ目の世界。それが今現在、人間達が暮らしている世界である。元々は月の遺跡に暮らしていた古の化け物が先に生み出されたのだが、2つの世界を先に作り出した時に理王(リオ)はこう考えた。「色んな種族や生物が存在する事で、その世界に変化が起きるのでは?」そう思った理王(リオ)は古の化け物と一緒に人間という生き物を3つ目の世界に生み出した。人間だけでは無く、動植物や魚、鳥など色んな生き物を3つ目の世界に生み出し、その生物達が暮らせる様に大陸を作り出した。この沢山の種族が生み出され、混在した3つ目の世界を理王(リオ)は[混界(こんかい)]と呼んだ。人間は寿命が短い代わりに沢山の変化をもたらし、その変化は人々の生活をより豊かにしていく文明の発展へと繋がった。天界と魔界には起きなかった変化。これが天使や悪魔には無い人間の才能であり、長所であった。天界、魔界、混界。この3つの世界全ては本来交わる事が無い。しかし、天界と魔界。この2つは違う。この2つの世界は同じ時期に対となる関係として生み出された。そう、これは理王(リオ)が最初に犯した過ち。天界を統括する理王(リオ)と相対する存在が、魔界の悪魔として生まれてしまったのだ。その悪魔は魔界の王として、理王(リオ)の力を奪う為に1億年前に天界を襲った。天使と悪魔の戦争。そして理王(リオ)は悪魔の王に勝利した。しかし、あまりにも強過ぎる悪魔の王を完全には消す事が出来なかった。その代わりに、理王(リオ)は2度と悪魔の王を復活させない為に、彼の魂を7つに分割した。それが7つに分断されし悪魔である獄魔7将。リフェルとベルゼバブ達はこうして生まれたのであった。魂を7つに分割した理王(リオ)は、その魂を新たな悪魔の肉体の器に入れ込んだ。そして残った悪魔の王の肉体は2度と復活出来ない様に別次元にある混界に封印した。本来悪魔は別次元では肉体を維持出来ない仕組みになっているのだが、その悪魔の王は肉体を維持出来る。悪魔なのに、神と同等の力を持ってい
血だらけの悪魔に対してカイルは1つも攻撃を喰らっていないため、無傷だった。 そして、悪魔はあることを思い出した。 「お…思い出したぞ!お前は、イフリークの守護神だな?」 「……」 カイルは返事を返すことなく、コクっと頷いた。 「まさか、神級魔導師が相手とは。だが、このPDO(プロジェクト・デビル・オペレーター)の俺が負けるなどありえない!」 そしてPDOは地面に手を置くと周りに地割れが起こった。 カイルとミーナはあまりの揺れに体制を崩しそうになった。 「お前の魔法は影だ!その影を無くしてやればお前は何もでき…」 すると悪魔の背後から別の影が発生した。 そ
魔力を貯めていた悪魔の手が突然刃物で斬られたように落ちた。 「なにっ?」 すると今度は周囲にいた悪魔達がバタバタと倒れていき、悪魔の心臓部分には深い切り傷があった。 「まさかっ、俺以外の悪魔がほとんど全滅だと!?」 騎士達はいきなりの悪魔の全滅に戸惑ったがそれが誰の仕業かすぐに分かった。 「これは、もしかして…」 「ああ、間違いない。この魔力は、この魔力は我ら騎士団最年少で最強の方、団長 だ!」 この国の団長は歴代初の10代の団長だが他の国ではこういう噂を聞く。 イフリークの騎士団団長の実力はは数で表すと国の騎士5000人の強さに等しく、 戦場では自分は無傷
南地区 黒いヒビ割れの悪魔が言った通り、この地区にも悪魔がいた。 その中でも黒いスーツを着たスマートな体型の悪魔は騎士団の攻撃を喰らっても倒れることはなく、街を容赦なく破壊していく。 「くそっ!もっと魔砲弾を撃てー!」 「だめです!もう弾が残り少ない!」 「くそっ!こんな時に12騎士長の1から9長は他の国に出張とは…エバルフとカレンはまだ戻ってこないのか!?」 「それが…未だに連絡が取れません!」 「くそっ!仕方がない!俺がやってやる!」 先陣を切って前に出たのはエバルフとカレンと同じ称号を持つ男。 11騎士長(イレブン・ナイツ) サージス・デルモンテ
宝石店を出てからミーナはカレンに案内されながら色んな店に寄り、手には買った服や旅に必要な生活必需品などが入った袋を持っている。 重くなった荷物を持っているミーナを見て微笑ましく思ったカレン。 笑いながらミーナに声をかけた。 「うふふ、いっぱい買い物できて良かったね。ミーナちゃん。」 「はい!本当にありがとうございます、カレンさん。」 「いいのよ。仕事の休みは私1人で買い物してるからあなたみたいな女の子と買い物できて楽しかったわ。」 「えへへっ。そういえばカレンさんは何の仕事してるんですか?」 「私?私は……」 「おーい、カレーン!」 カレンが答えようとした時